公務員の副業が解禁されるのを心待ちにしていた方たちに朗報です!
政府が正式に発表した、「未来投資戦略2018年」によると、国家公務員の兼業に関する環境整備を整える、と記載がありました。
つまり公務員の副業が実質、解禁!
民間企業よりも制約は多いものの、条件を満たしていれば公務員でも副業できるんです。
そんな公務員の副業についての現状や、今後の見通しについてまとめました。
目次
公務員の副業規定について
「やった!副業解禁されたからすぐ働こう」と思っている方、いったんストップです!
公務員は、民間企業とちがい、就業規則でなく法律で働き方が定めれています。
副業が解禁されたからといって、「条例が適用されない」という訳ではありません。
副業をはじめるにあたり、最低限、知っておきたい基礎知識をまとめました。
国家公務員・地方公務員それぞれ法律で定められているので確認しましょう。
国家公務員の副業規定
2019年3月、「国家公務員の兼業について」というデータが内閣官房内閣人事局より発行されました。
ざっくりと内容をまとめると……
- 国家公務員の兼業のあり方
- 国家公務員法の解釈と解説
- 申請手続きの方法
これらの内容がまとめられています。
「自分の選んだ副業は、大丈夫なのか?」と心配な方は、照らし合わせてみましょう。
ちなみに国家公務員の副業は、国家公務員法第103条と104条で定められています。
後でもまとめますが、公務員の副業は以下の条文に抵触しない働き方でなくてはなりません。
国家公務員法第103条「私企業からの隔離」
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。(引用元:法令検索)
国家公務員法第104条「他の事業又は事務の関与制限」
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。(引用元:法令検索)
地方公務員の副業規定
次に、地方公務員の副業についてですが、こちらも法律で規定されています。
許可があれば条件つきで、国家公務員と同じく副業ができます。
ただしあくまで本業は、公務員です。
「公務員としてのイメージを損なわないこと」「守秘義務の徹底」「職務への専念の義務」
この3つの大原則を決して破ることがないように注意が必要です。
以下は、地方公務員が守らなければならない副業に関する条文になります。
地方公務員法 第38条
職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
(引用元:法令検索)
公務員の副業事例2つ
「政府の副業整備なんか、待っていられない!」と、いち早く行動に移した地方自治体があります。
有名なのが、兵庫県と奈良県の角自治体による副業制度の制定です。
そんな公務員の副業推進の、足掛かりになった事例を2つ紹介します。
事例①兵庫県神戸市による地域貢献応援制度
2017年4月、神戸市の自治体が、NPO法人や地域活動を公務員が手伝えるように「地域貢献応援制度」を発表しました。
制度ができたおかげで、公務員も報酬が発生する活動にも参加が可能になりました。
立ち上げ1年で職員2名が申請し、ともに承認されて地域活動に参加しています。
実際に活動に参加した、神戸市役所・秋田さんのコメントです。
夏の繁忙期で月に2、3万円程度です。
多い額ではありませんが、休日に家庭を脇に置いて活動する上で、妻の理解を得る助けになってます。
活動は、障害者らの乗馬や木登り、田植えなどに拡大し、仕事量も増えています。
だから、私を含めスタッフの一部には対価を支払うようにしました。
(引用:神戸新聞「公務員はもっと副業した方がいい」より)
事例②奈良県生駒市による副業規定の明確化
奈良県の取り組みは、「地域活動の基準をしっかりと定めて運用しよう」といったものです。
2017年8月に神戸市の制度を参考にしつつ、副業の基準を明確にすることにより、参加者を増やそうという意図で制定されました。
その後、2018年8月にさらに改正をかさね、活動範囲をふやして公務員の副業を推進しています。
公務員ができる副業とは?
副業が解禁されたからといって、公務員の副業の選べる幅は決められています。
「一日だけバイトをする」「副業アプリで稼ぐ」といったことは許されていないのが現状です。
その中でも公務員法にふれない正式に許可されている、3つの働き方を紹介します。
投資活動
収入を得るという点で、副業に似ていますが、投資は副業には該当しません。
投資は株の売買を個人でおこなうため、公務員法で禁じている「会社の運営」にはあたらないので、自由におこなうことができます。
今は、500円から投資ができる「LINEスマート投資」といったものもあります。
「元手がない」「大きな金額を動かすのが怖い」そんな方でも簡単に始められますよ!
不動産の運用
不動産の運用も、公務員で許可されている副業のひとつです。
ただし営利目的とみなされないように、以下の規則を守らなければなりません。
- 不動産業務はすべて管理会社にまかせること
- 年間収入が500万円以下であること
また公務員ができる不動産運用の範囲は、人事院規則で決まっているのであわせて確認しておくといいでしょう。
「営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体」とは、商業、工業、金融業等利潤を得てこれを構成員に配分することを主目的とする企業体をいう。
会社法(平成17年法律第86号)上の会社のほか、法律によって設立される法人等で、主として営利活動を営むものがこれに該当する。
下は賃貸経営する場合に利用することになる不動産会社や、不動産会社を選ぶ助けをしてくれるサポート会社の例です。
不動産運用に興味があるならどんなものか見ておいても良いでしょう。
賃貸運用や購入など専門の不動産投資会社の例
不動産投資会社を選ぶための、サポート会社(コンシェルジュ)の例
農業の手伝い
あくまで実家が農業を営んでいる方限定になりますが、一応副業として認められているのでご紹介します。
平日は公務員として働き、休日に実家のお手伝いをする働き方ですね。
スタンスとしては「手伝い」であり、「経営」はできない決まりがあります。
また耕地面積と収入の規模によっては、副業の申請が必要なので、該当する方は注意が必要です。
公務員の副業解禁まとめ
公務員の副業にはまだまだ条件がついて、思うように稼げないかもしれません。
しかし冒頭でもお伝えした、「未来投資戦略2018」の公務員の副業推進を政府がおこなっています。
近い将来、もっと働きやすい環境が整えられていくでしょう。